はじめに

こんにちは。@Yasunorigoto1です。

OSS Gateワークショップ、2018/5/29に富士通社内の実施として、2回目を開催することができました。 前回のOSS Gateワークショップでは私から教育部門に「ぜひやりたい」と強く提案する形で実現しましたが、 それに対して、今回は教育部門のほうから「やりましょう」と提案があって実現しました。 (私も最初は知らなくて、気がついたら開催が決まってたというのが正直な所です。) OSS Gateワークショップ開催の意義が会社に認められたようで、大変ありがたい所です。 そこで、今回は2回目の開催レポートを記載しました。

前回と同じ所/変更した所

前回は初回ということもあって、OSS Gateのカルチャーを富士通にできるだけ取り入れたいと 考えていたので、主催者である須藤さんを司会進行役に呼んで開催しました。が、今回は いずれこの活動を富士通として自主的に行うものにしたいと考えていたので、 筆者が司会進行役になりました。 サポーターは、前回お願いした社内の人に今回もお願いしました。 さらに、tDiaryで高名なただただしさんをサポーター役に迎えることができました。

また、前回は以下のような課題がありました。

  • 本家のOSS Gateワークショップと同じように、参加者に作業用の端末を持ってきてほしいとお願いしたが、 セキュリティ上、仕事の端末の持ち出しが難しいケースがあり、参加出来ない人がいた
  • 社内の仮想化環境で作業してもらったが、proxyの設定でつまづくケースが非常に多く 余計な時間がとられてしまった。

そのため今回は、教育部門が以下も用意してくれました。

  • 作業端末として、会場にPCを用意 実行環境として、社内ではなく、某パブリッククラウド環境を用意
  • ネットワーク環境も、社内ではなく、社外に直接接続する環境を用意

予算やコンプライアンス等々の色々な事務処理、社内調整を教育部門側でやっていただいたはずであり、 大変ありがたいです。

一方、前回と同じ点としては、今回もOSS Gateワークショップ本体の解説の前に以下を実施しました。

  • 社外秘や他社・お客様の情報を社外に出さないようにするための諸注意
  • 知財部門からのOSS参加申請手続きの解説

これらは、 会社の業務として OSSコミュニティに参加することを想定した練習と位置づけているためです。

これが終わったあとは、いつもの本家OSS Gateワークショップと同様です。 本家ワークショップの進め方は動画でも確認出来ますが、 大まかに書くとやっていることはたったのこれだけです。

  1. ユーザーとして使ってみる。この際、ドキュメントは 必ず公式のもの を確認する。
  2. やっている作業を逐一メモして、自分がつまづいたり、分かりにくかったりする点などを洗い出す。
  3. メモを元にどんなことをコミュ二ティにフィードバックできるかについて、経験者であるサポーターと考える。
  4. バグ報告やドキュメントの改善提案などの形でコミュニティにレポートする。

コミュニティへのフィードバックが未経験だと、「初心者だから邪険に扱われそう」 とか不安になってしまい、フィードバックがなかなかできないものです。 OSS Gateワークショップでは、上記の様にちょっとしたフィードバックを 実際に経験 することで、 上記のような不安を払拭することを目指しています。

やってみて

会場の様子 やったことのまとめ

前回は対象のOSSとしてOpenStackのどれかのコンポーネントを選ぶ人が多かったのですが、 今回はSelenium IDE, Jupyter notebook, Docker, QEMU, Hyperledger fabricと多様になりました。

ワークショップの最初でパブリッククラウド環境の導入でバタバタしたので、「評価はどうかな?」とちょっと心配していました。

それもあってか今回は全員がフィードバック、すなわち質問やバグ報告を出すところまでたどり着いたか、 あるいはその一歩手前のところまで時間内に進めることができました。(最後までいかなかったのは、 フィードバックを出したら初めてCLAにサインするように求められたりしたケースです)

また、今回のワークショップでGitHubの便利さにも気がついた方も多かったように思います。 OSS Gateワークショップでは、最後のふりかえり用のアンケートをYAML形式で書いてpull requestを出す方式にしているのですが、これもOSSにpull requestを出す練習になっている点も効果が高いように思います。

課題と今後

今回は前回と比べると、ビギナーの募集に時間がかかりました。 最初の参加者募集の文面が少し分かりにくかったかな?というのが個人的な反省点。

また、OSS Gateワークショップの趣旨や内容を伝えても、 「そんなに不具合って簡単に見つかるの?イメージが沸かない」 っていう反応もあったりしました。 「OSSコミュ二ティにフィードバックができるのは、エキスパートの人だけ」というバイアスを払拭するのも このOSS Gateワークショップの目的ではあるのですが、未参加の人にそれを伝えるのはなかなか難しいですね。

また、もう少しこの活動を軌道に乗せて、社内のあちこちに展開していけると良いなと考えています。

前回開催時の反応から

おまけですが、前回の開催レポート時にいただいた反応の中で、ちょっと気になったものをピックアップ

申請は面倒?

「OSSコミュニティに参加するのに会社に申請しないといけないとかめんどくさすぎる。 もし自分がこの会社にいたらきっとやらない。」

うーん。これは家から趣味でOSSコミュ二ティに参加するケースを想定されているのか、 会社の業務として参加を想定しているのかどちらなんだろう?と感じました。

一応念のため言っておくと、プライベートでまったくの趣味で、お家からOSSに参加する場合は、 会社の手続きとかの縛りはまったくありません。(自宅での過ごし方を会社が縛ってはいけません) 好きなように参加できます。

会社の業務としてであれば、OSSによってはContribution License Agreementに 会社としてサインする必要があったりします。そういう文面のチェックとかを法務部門が やってくれるのはやっぱり便利だと思いますよ。

本社だけ?

「こんなことできるのは富士通本社だけだよね。子会社は関係ない」

んにゃ。そんなこと無いですよ。これまでにFujitsu OSS Gateワークショップに サポーターとして来ていただいたメンバには、弊社子会社でOpenStackのcore commiterになった人もいます。 (諸事情で、結局committerを返上しちゃいましたが)

こういうのへの理解って、本社かどうかとは関係ないです。 結局 人による のです。OSSに対する認識って人によって 大きく異なりますし、大きな組織って、なかなか一枚岩にならなくて、 認識を全体に浸透させるのが本当に大変です。

弊社の中にはOSSに理解のない人がまだまだ沢山いるのは、おそらくその通りなのでしょう。

でも、私は希望を持っています。 まず、このOSS Gateワークショップ自体、会社の中で草の根的な活動としてやっているわけではなく、 会社の役員クラスに認られたうえで 開催しています。 (正確に言うと、「ソフトウェア技術交流会」と言う社外の人も交えた社内活性化の イベントが上記の下に行われていて、OSS Gateワークショップはその中の一セッションとして開催しています。) なので、会社のずっと上層部にOSSに理解している方々がいるということです。

今回一番うれしかったのは、最後の振り返りで、 「どこでこのOSS Gateワークショップを知りましたか?」 という質問に、ビギナー7人のうち5人が 「上司から勧められた」 と回答してくれたことです。

上司が障害になってコミュ二ティに参加できないとか、あるいは相談しづらい というケースはまだまだ沢山あるとおもうのですが、理解のある管理職の方が増えてくれば 風は変わると信じています。

以上。